オリジナルヒュミドール製作過程

管理をはじめたころ

 20年ほど前、煙草屋をはじめたころのことです。
 葉巻販売を軌道に乗せようと苦心していました。仕入れた葉巻は、当初はプラスチックの容器に収納していましたが、ほとんどのものは満足のいく保存状態ではありませんでした。その中に1点だけ、これはと思うものがありましたので、早速、寿司屋をしていた知り合いの店へ持参して自慢したことを覚えています。当時はそんな行き当たりばったりの管理方法でした。

きっかけは愛知万博

 転機が訪れたのは2005年の愛知万博の時です。万博会場にキューバ館がありました。葉巻と言えばキューバ。家内とふたりで万博を楽しんでいました。
 そんな時、キューバ館に仕事で来日なさっていた葉巻の専門家のかたが、突然、来店されたのです。とても驚きました。おいでになったのはボリバーのかたでした。
 そのかたは私の管理方法を実際にご覧になって、保管方法や注意すべきことなど、子細にわたりご教授くださいました。私にとっては初耳のことばかりでしたが、なるほどそうかと納得のできるものでした。それまで無我夢中でやってきた私には、宝物のような知識でした。
 この経験が、これ以降の私の人生を変えたと言っても過言ではありません。それからの私は「いかに完璧に管理をするか」という課題に取り組むこととなりました。

ウォークインヒュミドールの課題

 そして、商品の数がだんだん増えていきました。増えるにつれて、管理収納をおこなうための専用の部屋が必要になりました。ウォークインヒュミドールの導入です。

 店つづきの我が家の10畳の部屋を改造して、ウォークインヒュミドールを作りました。
 加湿器を設置して管理をはじめたとき、問題が発生しました。
 (1) 同じ部屋の中でも、収納場所によって湿度が違うことがわかりました。
 (2) 部屋の上部空間と下部空間では温度の差が著しいことがわかりました。
 (3) カビが発生し、対応に追われました。

ウォークインヒュミドールの中に保管ケースを設置

 ひと部屋の大きな空間の中に棚だけ設置して管理をすることに限界を感じ、部屋の中に保管ケース(ヒュミドール)を設置して管理をはじめました。部屋の下部空間の低温を避けるために収納空間は床から450mm上げました。ケースの前面はガラス扉にして、中の状態を確認できるようにしました。この方法だと煙草の種類によって、より細かい管理の調整ができると考えたのです。しかし、この方法にも限界がありました。

保管ケースを還流式に改良

 ケースの中でも、ケース内の収納場所によって、ウォークインヒュミドールと同じように温度・湿度にバラツキが出ます。ケース内での温度・湿度の平均化を考えていたときに、出入りの電気屋さんから空気を循環させたらどうかとアドバイスをいただきました。
 内部の空気を時計回りに環流させるために、ファンモーターを導入してみました。環流がスムーズに流れるように、収納する商品の配置にも気を配りました。その結果、ケース内の温湿度の差を2%以内におさめることに成功しました。

サイズの問題

 オリジナルヒュミドールのサイズは、長年にわたり実験と経験をとおして決定したサイズです。また、加湿器の表面積のサイズが保管庫の湿度と密接な関係にあります。保管庫のサイズによって加湿器の表面積を調整し、湿度のコントロールができるようになりました。

四季による管理

 管理という面で日本の季節を考えると、「春と夏」「秋と冬」という2つの季節が考えられます。「春から夏にかけて」は太平洋高気圧の関係で湿度が高く、「秋から冬にかけて」はシベリア高気圧のために湿度は低くなります。気圧の変化が湿度におよぼす影響は多大で、ここに四季をとおした管理の難しさがあります。
 この管理をシステム化し、誰にでも季節に対応した管理が容易にできるようにしたいというのが長年の私の夢でした。
 夏場の湿度が60%を超えたり、冬場の湿度が20%にまで下がる場合でも少しの手間で良好な状態を保てる保管庫をめざし、改良を重ねて、現在の大きさと形になりました。

還流式ヒュミドールがカビを抑制する

 湿度の平均化を計るために製作した還流式のヒュミドールですが、思わぬ副産物がありました。 保管庫内のカビを抑制するのに役立つことがわかったのです。
 湿度が上がると、たちまちカビの繁殖が始まります。カビの胞子はいつの間にか保管庫内に漂いはじめますが、すぐに還流式の空気の流れに乗ります。そして最終的には加湿器の水槽に集まってくることがわかりました。カビは水の中でも生き続けますので、加湿器内の水は1週間~10日ぐらいで交換をする必要がありますが、保管庫内にはカビの胞子が残らないことがわかりました。この発見は大きな希望につながりました。  

ワカハラオリジナルヒュミドールの完成

 温湿度をケース内のどの場所でも一定の状態に保て、カビの繁殖をも抑制するこの仕組みを「ワカハラオリジナルヒュミドール」と名付け、特許を取得することができました。